市川実日子のあまりの可愛さに気が遠くなったり、坂元裕二は松田龍平に片想いをさせるのが好きだなとか思いながら
ドラマ後半の、かごめ(市川実日子)の台詞に
ウワーっと頭を抱えたくなった。
『恋愛になるのが残念でならない』
誰も共感してくれなかった学生時代の自分に教えたい。
ちょっとー!!ここにいるよー!共感してくれる人が!
ちょっと泣きそうになった。
けれど私は昔も今も、かごめのような純粋さも覚悟も才能もなかったので
騙し騙し生きてきた結果、なぜか結婚したいと言う人が現れてそのまま結婚してしまった。
今週の大豆田とわ子と三人の元夫は
これまでの面白さに加えて坂元裕二がぶっ刺してきた。本領発揮してきた。
第4話を3回観てから
キリンジの楽曲「それもきっとしあわせ」を思い出した。
最初に聴いたのは鈴木あみに提供したそれだったのだが彼女の声で
『好きな人がいて 愛されたのなら
それもきっと 幸せ』
それもきっと、と歌うのに不穏さを感じたのは私だけだろうか。
不穏というか、居ても立っても居られないような気分にさせられた。
「結婚できただけいいじゃん」
「それは愛されてる証拠だよ」
「やさしい旦那さんだね」
結婚生活を聞かれて周囲の人がそう言うたびに悔しくて
夫の愚痴を言いまくってドン引きさせるようになってしまった。
最初は日頃の夫へのイライラを吐き出せてスッキリしていたが、そのうち不毛で自己満足、人に聞かせる話ではないと気付いて反省し言わなくなった。
好きな人がいて、その人に愛されたら即ハッピーエンドではないというのはとっくに理解してる。
この曲を作った堀込の言いたいことはそこじゃない。
『歌いたい歌がある わたしには描きたい明日がある そのためになら そのためになら
不幸になっても かまわない』
冒頭の歌詞のように恋愛をしていることも
夢を持ってそのために1人でいることも肯定している。
私には、お前はそのどちらの覚悟もないね、と言い当てられたようだった。
決して恋愛と仕事の二極化ではない。
自分にとって幸せとは何か、
生きていくのに、信念があるか。
そしてそれを貫く覚悟の問題である。
結婚したいと思ったことなんか人生で一度もなかったのに
1人で生きていく覚悟がないから結婚し
結婚してくれた相手の愚痴を言いふらし
一体なにがしたいんだよお前は。
過去の自分にそう言いたくなってしまう。
八作(松田龍平)は、かごめ(市川実日子)に片思いし続けると決めている。
かごめは、好きな人を作らないと決めている。
タイプの人が現れたら、気持ちは動く。
けれど心は決めている。
かごめは、目に見えない大切なものを
きちんと自分の手で持ち、一度も離すことなく生きてきたのだと思う。
人と同じように出来ないことを悩んだり傷ついたりしながら、また新たな道を模索したりしながら、真剣に生きてきた。
だから覚悟を決められた。
ふわふわと生きてきた私にでさえ、
夢中になったり、没頭したりすることが
かつては、確かに、あった。
それらを一体いつ手放したんだろう?
自分の中の、決して譲れない大切にしたいものを大切にすべきだとわかっていて
しっかりと持ちながら大切にしている人は
この世にどれだけいるんだろう。
そのためになら、不幸になってもかまわない。
そう言える人になりたい。それは今からでも決して遅くはないはずだ。
それにしても動く市川実日子が観られるだけでこのドラマを観る価値は充分にあります。
個人的にアンナチュラル(TBS)の時よりずっと好きだ。素晴らしくハマってると思う。
今後もたくさん登場しますように。