大豆田とわ子と三人の元夫・第5話の感想

このスピード感。

これまでの回と明らかに異なるテンポで話が進んだ第5話。

坂元脚本、いつもこうだよ(私がフル視聴済みなのは『問題の多いレストラン』と『カルテット』)。

知ってるはずなのに、まんまと毎回びっくりして心掴まれる。



前話で三角関係を明らかにしてからの、三人揃うシーンは巧かった。

それぞれが、それぞれの気持ちに気づいているのか、そうでないのかが

観ている我々には判断しきれない(今までそれを確実にする描写はなかったと思う)。

ハラハラしっぱなしである。

これ気付いてるよね⁈ていう匂わせシーンはたくさん散りばめられてるし。


かごめ(市川実日子)といる時の八作(松田龍平)明らかにテンション違うじゃん!やだもう!

かごめの靴下に穴が開いているのに気づくと

とわ子の誕生日が近づく中、とわ子に靴下を二足プレゼントする八作の無神経さよ。

八作、不器用なの?それともとわ子に渡せばかごめに届くかもって計算なの?計算だとしてもそんなことする?なんか様子おかしくない?

周囲の人間に対する優しさ(誰にも優しいとは誰にも優しくないということです)、愛され力を見るからに決してやらかしそうにない八作が、かごめの事となると人が変わったように感情優先、剥き出しな振る舞いをする。



とわ子の会社の取引相手・門谷(谷中敦)登場。

あの業界の社長に恨みでもあるのか坂元裕二

谷中さんが役をやり切ってて、非常に面白かった。演じてる本人も楽しそう。次週も出るっぽいので楽しみ。


職場で、とわ子と門谷のやりとりを気にする(仕事だよ)慎森(岡田将生)の嫉妬深さは異常なのに、微笑ましく感じてしまうのは岡田将生の顔面且つ清潔感9割と慎森の根底にある人間性のおかげ。それも自分が心を許した人にだけ向けられる優しさ。

前回、慎森に「私のこと覚えてますか?」などと謎めいた言葉を残していた小谷翼(石橋菜津美)が、実は慎森の生活拠点であるビジネスホテルの清掃員であることが判明した。

毎日顔を合わせていた彼女のことを自分が全く認識していなかったことに呆然とする慎森。

庇うわけではないが慎森の場合はホテルスタッフや店員さんと目を合わせるのが苦手というパターンでは。

しかし彼女は仕事で毎日顔合わせてる客に無視されてたからあんなこと仕掛けたってことなら、ちょっと強引である。そもそも小谷翼は好意でやったのか?だとしたら慎森も顔負けのストーカー気質。次週も登場するし、まだ何か意図があるのだろうか。

石橋菜津美さん、綺麗でお芝居上手)



とわ子は門谷に無茶苦茶な論理で侮辱され、消耗してしまい何とかネットショッピングで気を紛らわそうとするも八作の店へと赴く。

とわ子、弱ってる時に頼るのが八作なのかよ……。


門谷の話に憤慨する八作(こういうとこな…)に戸惑いつつ、

離婚した当時のことを話題にし始めるとわ子。


このシーン、泣いてしまった。

とわ子の想いが、観ていてしんどくなるほど伝わり辛かった。

八作の優しさ、気遣いは昔から今でも変わらない。そのことも、とわ子を思うと目を覆いたくなるほど苦しい。


夫の心には自分以外の誰かがいる。

自分は愛する人に選ばれたわけではなかった(いや八作としては選んでいるつもりなんだけど)、そう気づいてしまった時

はっきり言って見ないふりして蓋したい。

夫は隠し通せてるつもりだし、自分にとって最愛の夫だよ。


だからこそ、家族に対し真摯に向き合いたいと思ったのではないだろうか。また夫にもそうであってほしいと願ったのかもしれない。それが家族全員にとって、辛く悲しく、傷つくことであっても。「若かったんだよ。許せなかったんだよ」と言ってたけど、本当を大切にしている人はそれだけじゃ物事を決めない。

それにしても離婚時には「勘のいい」とわ子も、八作の片想い相手がかごめだとまでは気が付かなかったというから、まだまだこれから過去の物語が語られるんだろう。つらい。けど観たい。観る。



とわ子の誕生日を祝う動画を撮ることにした唄と元夫たち。

仕事のことを交えながらメッセージを伝える慎森と鹿太郎に対して

「大豆田とわ子はずっと最高です」とだけ言い切る八作。


そうなんだよ。こういう人なんだよ。八作は。言葉のチョイスが抜群で相手の欲しい言葉を無意識に言えるんだよ!いやんなるね!!



もうこのまま、今の距離感で、とわ子と唄とかごめと三人の元夫で、生きていったらいいのに。て思ってたら猛スピードでしんどい展開になってしまった。


鹿太郎(東京03角田晃広)のことは長くなるので、別で書こうと思います。

角ちゃんいいよね。